Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

ヘルピング・ハンズ

 電子工作の世界に「ヘルピング・ハンズ」と呼ばれる道具がある。

 半田付け作業の時などに重宝する(らしい)のだが、自由に(手動で)動かせるアームの先にクリップのついたもので、プリント基板を固定したり、基板上のパーツを押さえたりするのに使う。

 半田付け作業時には、右手に半田ゴテ、左手に糸半田を持つ。僕には腕が2本しかないワケで、元来不器用な僕が基盤やパーツを動かないように押さえておくためには必然的に腕が足りなくなる。「ネコの手も借りたい」時に使うからHelping Handsか。

 「あると便利」だと言うので1年ほど前に買ったのだが、これまで1度も使っていなかった。アマゾンで一番安いヤツを探して買ったのだが、これがトンデモないチャイナ・クオリティーだったのだ(笑)。

 むやみに中国製品の悪口を言うのもどうかと思うのだが…、僕の買ったものはまさに「安かろう、悪かろう」で、開封したその日の内にもう壊れた(笑)。それが嫌なら(この製品の2~3倍の値段の)日本の会社の製品を買え、ということなのだろう(それもおそらくメイド・イン・チャイナなのだろうと思うが…)。

 それが先日、思わぬところで大活躍した。ケチケチ作戦で、腕時計の電池交換を自分でやったのだが、この時に拡大鏡(虫眼鏡)の部分が多いに役立ってくれたのだ。

「ヘルピングハンズ」の画像

(ヘルピング・ハンズ)

 年齢のワリに老眼の進んでしまっている当方、ボタン型電池の交換そのものよりも、腕時計のケースと裏蓋の間に挟まれている防水のためのゴムのパッキン(細い輪ゴムのようなもの)を正しい位置に置くことの方が難しかった。パッキン位置の微調整だけで1時間以上要したのではないか。

「ヘルピングハンズ」の画像

(ヘルピング・ハンズ)

 思わぬところで日の目を見ることになったヘルピング・ハンズ、実際のところ半田付け作業時には重宝するだろう。使っていなかったのは、すぐに壊れたというのもあるが、エフェクター自作のマイブームが停滞していた、ということの方が大きい。1年半くらい前にワリと気合いを入れて作った自作オーバードライブのサウンドが全然ダメで、ガッカリだったのだ(一応、Jan Rayモドキを狙っていたのだが、出来上がったものは全く別の代物)。

 いくつか作ってみてわかったが、エフェクター自作の醍醐味は、普段自分の使っている機材、エレキギターエフェクターをアンプに繋いで、音を出しながらパーツの選定(コンデンサーの静電容量やクリッピングダイオードの種類)や回路の微調整(回路中の特定の箇所の電圧値だとか)が出来るところなのだ。そうやって自分の弾き方や音の好みに合わせて作ったエフェクターは(たとえそれが他人から見ればガラクタそのものであっても)かけがえのない「世界に1台しかない自分のための自作エフェクター」になる。評判の良い有名エフェクターの回路図をググってそのまま劣化コピー品を作ったってダメなのだ。

 もう2年近く電子パーツ屋をのぞいていないが…、世界的な「半導体不足」は趣味の電子工作の世界にも影響を与えているのだろうか? 「いつか真空管ギターアンプを自分の手で作ってみたい」という夢は捨ててはいない。そろそろ再開してみようかな。