Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

含意

 論理演算と言えば、否定、論理積論理和排他的論理和しか知らなかったが、含意という演算があることを最近知った。

 「含意」とは「AならばBである」という演算で、真理値表で表すと、

 
 A B A⇒B
 真 真 真
 真 偽 偽
 偽 真 真
 偽 偽 真
という演算である。

 含意の特徴は、「AなのにBでない」以外は全て真となること。つまり、Aが偽のときはBの値に関わらず演算結果は真になるのだ。

 これで思い出すのが、心理学で有名な「4枚カード問題」である。4枚カード問題では、表面にアルファベット、裏面に数字が書かれた4枚のカードが使われる。机の上に4枚のカードを並べる。今、左からそれぞれ、E(表)、D(表)、4(裏)、7(裏)と書かれた面が上を向いている。さて、「表面に書かれたアルファベットがEだったら、裏面に書かれた数字は4である」というルールが4枚のカード全てで成り立っていることを確かめるためには最低どのカードをめくって表面と裏面の対応関係を調べなければならないだろうか。

 正解は、Eと書かれた面が見えている一番左のカードと、7と書かれた面が見えている一番右のカードである。まず前者は、表がEなのに裏が4じゃなかったらルール違反なので調べる必要がある。また後者は、裏に4以外の数字の書かれたカードの表がEだったらルール違反になるのでこれも調べる必要がある。ところが、多くの人は、一番左のカード(これは正解)と右から2つ目のカード(4と書かれた面が見えているカード)を調べる必要があると答えることが知られている。しかし、裏に4と書かれたカードの表にEと書いてあったとしても他のアルファベットが書いてあったとしても「表がEならば裏は4である」というルールの違反にはならない。それゆえ、このカードをめくって確認する必要はないのである。

 つまり、4枚カード問題が求めているのは、含意演算なのだが、人々は「AならB」の逆である「BならA」が成り立っているかどうかをつい調べてしまうわけである。