Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

SNSによる弱い紐帯の維持

 Granovetterによる『弱い紐帯の強さ』という議論がある。

 弱い紐帯というのは滅多に会わない知り合いのようなもの。反対に強い紐帯というのは、家族、ご近所、会社の同僚等の毎日顔をあわすような人たち。強い紐帯の人たちとは大抵の場合、同じ共同体に属していて多くの情報を共有している。それに対して、弱い紐帯の人たちとはあまり情報を共有していない。

 ところが、アメリカでの転職事情を調べてみたところ、有用な転職情報は弱い紐帯から得られることが多い、というのが、弱い紐帯の強さ。掘り出し物情報は滅多に会わない知り合いから得るというわけだ。(ただし、日本での転職においては、弱い紐帯と同程度に強い紐帯からも情報を得ているという研究がある。)

 僕にとってmixi等のSNSの面白さは、この弱い紐帯の維持を容易にしてくれる点にある。僕は人間関係のメンテナンスにほとんどコストをかけない人間なので、かつての人間関係のほとんどはほうっておいて埋もれてしまっている。これをmixiを使って掘り起こす。掘り起こして強い紐帯にするのではない。弱い紐帯のまま相変わらずほうっておくのだが、従来ならそのまま埋もれてしまったような人間関係をmixi弱い紐帯として維持してもらうのだ。

 mixi会員の多くがどのようにmixiを利用しているのかはわからないが、強い紐帯をますます強くする、あるいは弱い紐帯を強い紐帯化するという積極的な使い方だけでなく、弱い紐帯が消えるのを防ぐという消極的な使い方も面白い。