Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

フランスでの暴動

 ここ1年くらいときどきフランスの各地で暴動が起きている。政府が国家非常事態宣言を発したこともあった。そういうことが起こることは先進国では稀だ。暴動の原因は、宗教的な問題だったり労働問題だったり移民の問題だったり様々だが、主に政治的な問題が多いように思う。

 僕はフランス人に対して非常に個人主義的なイメージをもっているので、フランスでの大規模なデモや暴動を意外に感じる。

 デモや暴動といった集合行為が発生するには、個々の人々が強い抗議の気持ちをもっているかどうかだけでなく、個々の人々が「他者も強い抗議の気持ちをもっている」と思っているかどうかも同じくらい重要だ。つまり、「『自分は怒っているし、皆も怒っている』と皆が思っている」ことが、集合行為の発生にとって非常に重要だ。

 僕のもっているフランス人ステレオタイプは、個々人がそれぞれ強い意見をもっており、同様に他者もそれぞれの意見をもっていることを当然と思っている人達、というようなものだ。そういう人達の間では、「『自分は怒っているし、皆も怒っている』と皆が思っている」状態が生まれづらいのではないかと僕には思えるので、フランスで暴動がしばしば起こっていることを意外に思うのだ。