Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

ネット書店とリアル書店

 本をアマゾンで買うことが増えてきたが、僕にとってリアル書店の重要性は全く低下していない。ネット書店に求めるものとリアル書店に求めるものが異なっているからだ。

 ネット書店ではダメで、リアル書店(と言うかリアル店舗)でしか手に入らないのは、その高いブラウズ可能性だ。僕にとってのリアル店舗の良さは、まずザッと本棚を見渡せること、その結果、興味を引く本と偶然出くわすことがあること、立ち読みできること、その際文字の大きさやイラストの有無、本の厚さや作りなどを確認できること、である。

 逆にネット書店の良さは、書籍データベースを利用した検索機能、読者による評価情報、ある本を高く評価している読者はこの本も評価しています、というような顧客の商品購買データを利用したオススメ情報だ。極端な言い方をすれば、ネット書店で本を買うのは、検索のついでに買っているに過ぎない。(自宅近くに大型書店が何軒もあるので、ネット書店の品揃えの豊富さは僕にとってそれほど魅力ではない。)実は、アマゾンで目をつけた本をアマゾンでは買わずに、リアル書店で立ち読みし買うことが多い。

 ネット書店には、データベースの情報を求めているのに対して、リアル書店には、本の山を見渡せることができることと、本そのものを手に取ることができることを求めているわけだ。

 同じことが、CDやDVDにも当てはまるだろうか。CDやDVDと本との大きな違いは、リアル店舗において、本を立ち読みするような具合にCDやDVDを試聴できることはほとんどない、ということだ。CDやDVDの場合、商品そのものを手に取ることができてもあまり意味はない。もし、ネットCD・DVD屋で、ほぼ全ての商品に関してかなり自由な試聴が可能であれば、僕はリアル店舗をぶらついて目をつけたCDやDVDをネット店舗で試聴し買うだろう。

 逆に言うと、リアル店舗で買う気になるためには、棚の端から片っ端に試聴できるくらい試聴可能性が拡大するか、その場で自分の趣味に沿った情報を提供してくれるようなシステムの導入が必要だろう。