Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

ベクトル

 ベクトルという概念がよくわからないのは、それが「向きを持った量」だという点が重要なのか、「多次元の数」だという点が重要なのか、どちらなのかよくわからないところに由来するのではないか。

 1次元ベクトルを考えてみると、いわゆる普通の数だってベクトルと考えてよいことがわかる。例えば、中1数学の最初に「数とは、符号 + 絶対値である」と習う。数とはそもそも向きをもった量なのだ。(AさんとBさんの身長差、みたいなものをイメージするとわかりやすい。差の絶対値が5cmだとして、Aさんを基準にするか、Bさんを基準にするかで、身長差は+5cmにも-5cmにもなる。)

 ベクトルという概念を使うことによって得られるメリットは、「複数の数の組」を1本の矢印と考えればイメージ化しやすい、ということなのだろうと思う。

 例えば、碁盤の目状の街での、北5条東4丁目から北8条東6丁目への移動を考える。これを、(8, 6) - (5, 4) = (3, 2)という風に把握するよりも、右上方向へ引いた1本の矢印として視覚的に捉えた方が直感的だということだ。

 ひょっとして、それだけのこと・・・なのか?