Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

ベクトル 2

 1次元ベクトルってのは、「差」みたいなものだと考えればいいんだろうか。

 例えば、身長160cmのAさんと170cmのBさんがいて、その身長差は10cm。ここで「身長差」と言っているのは、正確に言うと、「身長差の大きさ」「身長差の絶対値」のこと。「ベクトルは向きをもった量だ」と言うときの「量」のことだね。

 細かいことを言えば、Aさんを基準にしたときの身長差とBさんを基準にしたときの身長差は異なる。どちらを基準にするかで、+10cmになったり-10cmになったりする。量の向きがかわる。どっちが大きいのかを知りたいときには、量そのものではなくて、量の向きが重要になる。

 ベクトルってのが「差」のことなんだよと言われれば、ベクトルの始点をどこに移動しても同じベクトルと見なす、というのも納得がいく。160cmと170cmの差は、170cmと180cmの差と同じだ。

 ただ、「差」のイメージに固執してしまうと、かえって線形代数の理解を阻害してしまうかもしれないとも思う。