Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

足元が崩れ落ちる衝撃

 これまでの人生で僕が受けた最も大きな衝撃は、おそらくベルリンの壁崩壊だろう。次いでソ連解体。それまで僕は、国というものはモノとして物理的に存在していると思い込んでいたので、足元が崩れ落ちるほどの衝撃を受けた。国がなくなる、なんてことを考えたことがなかったのだ。

 僕は変化に鈍感で、物事は不変のまま続いていく(「維持されていく」ですらない)とつい仮定してしまうタイプの人間なので、例えば、会社がなくなる、という感覚もあまりもっていない。高校生・大学生の時、村上龍のやっていたテレビ番組のRyu's Barで、柄谷行人だか蓮實重彦だかが「国際連合はそのうちなくなるだろう」と発言していたときも衝撃を受けた。僕は世の中は変わらないと思い込んでいる人間なのだ。

 実は僕にとって、駒大苫高の高校野球全国優勝(そして2連覇)は、ベルリンの壁崩壊、ソ連解体に続く、ショッキングな出来事だった。何故か? 北海道の高校野球チームが全国優勝するのを見る機会は生きているうちにはないだろうとかたく信じていたからだ。彼らの優勝は僕の現実感を完全に揺るがしたのだ。