Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

身体的なセルフイメージの変容

 1ヶ月くらい前に昔ちょっと付き合っていた女のコと会ったとき、開口一番「思ったより太っていない」と言われたことが印象に残っていた。何故彼女は僕がそんなに太ったと思っていたのだろうか?

 思い当たるフシがある。何年か前に、付き合っていた頃よりも随分太ってしまったので今の姿を見せたくない、というようなことを、この人に対して言ったことがあるように思うのだ。

 僕は、この女のコと別れてから1〜2年くらい経った頃、短期間で急に太った。たしか半年で8キロという増え具合だった。これには自分でも驚いた。これだけの急激な変化には、対応する身体的なセルフイメージの変化が追いつかない。その後もずっと、セルフイメージとしてはやせたままだった。ところが、現実には太っていて、このギャップを自分で受け入れることが出来なかった。「現在の姿は仮の姿であって、これは本当の自分ではない。本当の自分はやせている」とずっと思っていた。

 彼女に太っているから会いたくないと言ったのは、昔のやせているセルフイメージが持続していた頃の話だろう。

 今回、彼女とちょっと会う約束をしたときには、太っているから会いたくない、なんてこれっぽっちも思わなかった。だいたいほんの数年前に自分がそう思っていたらしいことすら忘れていた。会った途端に「思っていたより太っていない」なんて言われ、何でそんなことを言われたのか考えているうちに思い出してきたのだ。

 どうやら、今の自分の体型がようやく自分自身のセルフイメージとなったようだ。今の自分の姿を「仮の姿」だとは今では思っていない(「昔はやせていた」とは思っているが)。実際に太ってから、太っている自分を受け入れることができるまでに5〜6年かかった。セルフイメージというものはなかなか変わらないものだ。しかしゆっくりと変わっていくものだ。