Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

全員協力と相互協力

 社会的ジレンマゲームを用いた社会心理学実験を行ったところ、参加者全員が協力行動を選択した。これを何と呼ぶ?

 うっかりしているとこれを「相互協力」などと呼んでしまいそうになるが、早とちりである可能性がある。他の人が協力していようがいまいがそんなこととは無関係に協力するようなタイプの人がたまたま集まっただけかもしれないからだ。そうだとすれば、これは全員が協力している「全員協力」に過ぎない。

 「相互協力」とは、「全員が協力している状態」ではなく「全員が協力しあっている状態」のことだ。「他の人が協力しているから自分も協力する」というのが全員に関して成り立っている状態なのである。つまり、相互協力においては、たまたま全員が協力したのではなく、皆の協力が皆の協力を引き出しあっている。ここに社会現象の面白さがある。