Cogito Ergo Sum.

我思う故に我あり

自分自身に眠るプラス思考の側面

 一週間ほど前に買ったはいいが床に置いたまま読んでいなかった転職マニュアル本をようやく読み始めた。まだ1/3ほどしか読んでいないが、ちょっと面白いなと思うのは、著者が力を尽くしているのが「読者に暗示をかける」ことだという点だ。

 「『自分には大した実績がない』、『自分にはアピールできる点が何もない』、『自分を採用してくれる会社なんてあるんだろうか』、こんな考えは今すぐ捨てなさい!」と繰り返し説いている。「会社に言われるまま仕事を進めてきた人でも、そこで得たノウハウや考え方はあなた自身のもの、あなたを必要としている会社は必ずある!」

 読んでいて、結婚相談みたいだなぁと思った。「『自分には魅力がない』、『自分にはアピールできる点が何もない』、『こんな自分と結婚してくれる人なんているんだろうか』、こんな考えは今すぐ捨てなさい! あなたを必要としている人は必ずいる!」 考えてみれば、結婚相談も転職相談も解くべき課題は同じだもんね(えっ、違う?)。

 「『プラス思考です』と答えるのが正解」問題についても、マイナス思考の人に対して「嘘を言え」と言っているのではなく、「どんな人にも、プラス思考の面とマイナス思考の面がある。自分をマイナス思考だと考えている人は、自分自身のプラス思考の側面にもっと自覚的になりなさい」という意味なのだと考えれば、それなりに納得がいく。

 以前、『コミュニケーションのための催眠誘導』(石井裕之(著) 2006年 光文社)という本を読んだことがあるんだけど、この本も最終的には読者に(「俺は、できる!」という)暗示をかけて終わっている。なるほど、世の中にはこういう本が必要とされているんだな、ということが何となく今はわかる。

 ただ、まだ、自分が今何を感じているのかよくわからない。「なりたい自分になろう」みたいなポジティブなメッセージにはどうしても「そんなの自然体の自分ではない」という拒否反応が出てしまう。無理して背伸びしてる感じが嫌なのだ。反対に、『元気がなくてもええやんか』(森毅(著) 2003年 青土社)の力の抜け方にニンヤリとしてしまう。